人口減

競争が減少する社会

第二次ベビーブーム世代である僕ら40代の人口は、現在の10代や20代の人口と比較すると格段に多い。この人口の多さによって、学生時代に嫌という程の競争を経験した。高校や大学の受験や部活でのレギュラー争いは相当な倍率だった気がする。しかし、その競争を意識せざるを得ない環境のおかげで向上心を高められたことは間違いない。競争が減少する現在の日本の社会では、向上心を高めにくくなってきているのではないだろうか。

僕は競争ばかりの窮屈な日本教育が嫌になり、アメリカの大学に入学したが、そこでも競争を意識して生活することになった。外国人学生には、語学力や文化的知識のハンディキャップがある。しかし、ハンディキャップがあっても、何かで劣れば、日本全体を見下されそうな気がして自然と負けん気が強くなっていった。さらに自分を良く見せるためのアイデアも必死で考えた。

例えば、デザイン作品を提出する授業の日には、わざと5分ほど遅れて教室に行った。それは、他の生徒が宿題を見せ終わる寸前に登場した方がみんなの注目が自然に集まってくることを計算に入れての行動だ。そのタイミングで他の生徒を圧倒する作品を見せれば、良い印象を際立たせるのだ。当然、作品の質が悪ければ、逆に悪い印象を際立たせることになるのでリスクもあった。競争を意識しない環境であれば、こんな行動を取ることもなかっただろう。

イチローが20年遅く生まれていたとしても、あの凄まじい向上心を持つことができたのだろうか。激しい競争こそが謙虚で温厚な日本人の潜在能力を引き出す切り札だったのではないだろうか。